愛の証明
2007年1月7日
小説における愛の描き方は多々ある。それは純愛であったり悲恋であったり敬愛であったりする。また、友情も友愛という名の一つの愛の形であろう。今回紹介する本は、その友愛について書かれた素晴らしい作品である。
正義感が人一倍強い牧人の青年メロスは、暴虐な王を非難した廉で処刑されることになる。メロスは親友のセリヌンティウスを人質として王のもとにとどめおくことを条件に、妹の結婚式に出るため三日間の猶予を得、三日後の日没までに必ず戻ってくることを約束する。王はメロスを信じておらず、死ぬために再び戻ってくることなどないと言いのけたが、メロスは帰途度重なる不運に出遭いながらも、また王のもとに戻ることを諦めそうになりながらも、親友のために走り続ける。
太宰治の短編小説『走れメロス』である。
この作品を囚われの身のセリヌンティウスの立場になって考えてみると、彼は「メロスが帰って来なかったら自分が殺される」という思いと、「メロスが帰って来たらメロスが殺される」という思いに挟まれて心情は複雑なのではないかと思う。しかし実際のところ、セリヌンティウスはそんなことは考えていない。そしてそれはメロスも同様である。二人は互いの命については考えないのである。
けれども、メロスは親友のもとを目指す。セリヌンティウスは囚われながらもメロスを信じる。彼らの原動力ははたして何なのだろうか。それは「約束を守る」というただ一つの行為なのである。そこに伴う「死」はそれと並ぶものではない。完璧な友愛の形である。
「友情」というよりも「友への態度」ひいては「他人への態度」を考えることができる本だ。人間関係が希薄になっていると言われる昨今、約束を破ることに躊躇のない人々に是非読んでほしい。
や、大学の授業の「本を紹介する」というレポート課題です。(笑)
愛だー。すべては愛だー。notアイーダ。
正義感が人一倍強い牧人の青年メロスは、暴虐な王を非難した廉で処刑されることになる。メロスは親友のセリヌンティウスを人質として王のもとにとどめおくことを条件に、妹の結婚式に出るため三日間の猶予を得、三日後の日没までに必ず戻ってくることを約束する。王はメロスを信じておらず、死ぬために再び戻ってくることなどないと言いのけたが、メロスは帰途度重なる不運に出遭いながらも、また王のもとに戻ることを諦めそうになりながらも、親友のために走り続ける。
太宰治の短編小説『走れメロス』である。
この作品を囚われの身のセリヌンティウスの立場になって考えてみると、彼は「メロスが帰って来なかったら自分が殺される」という思いと、「メロスが帰って来たらメロスが殺される」という思いに挟まれて心情は複雑なのではないかと思う。しかし実際のところ、セリヌンティウスはそんなことは考えていない。そしてそれはメロスも同様である。二人は互いの命については考えないのである。
けれども、メロスは親友のもとを目指す。セリヌンティウスは囚われながらもメロスを信じる。彼らの原動力ははたして何なのだろうか。それは「約束を守る」というただ一つの行為なのである。そこに伴う「死」はそれと並ぶものではない。完璧な友愛の形である。
「友情」というよりも「友への態度」ひいては「他人への態度」を考えることができる本だ。人間関係が希薄になっていると言われる昨今、約束を破ることに躊躇のない人々に是非読んでほしい。
や、大学の授業の「本を紹介する」というレポート課題です。(笑)
愛だー。すべては愛だー。notアイーダ。
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